日々雑録

仏像修理のハ・ナ・シ48『欠失・亡失部分を足しましょう☆』(全1回)

2012/01/17(火) 仏像修理の話




お身丈立像1尺の阿弥陀如来像が、

修理のため、当社にやってこられました。





今回の修理は、現状を維持し、特定の損傷部のみを修理する内容。



お木仏の欠損は、





右手の中指、薬指、小指の欠失。

左手の中指の欠失。

左手の袖口の欠損。








あと、台座では、






全体に摩損、ネズミによる被害が確認できますが、

今回の修理では、亡失した擬宝珠(ぎぼし)と橛柱(けつばしら)の

新補のみを施しました。




お木仏は、まず、








指は桧材で欠失部分を新補し、

左手の袖口には、人工木材を使用して成形。







一方、台座のほうは、


橛柱は、残っているものと同様に制作し、







擬宝珠は、既存分と同じように損傷した状態で制作しました。







橛柱は、漆を塗って、




金箔を押し、




古色を施す。

擬宝珠には、漆箔を施さずに直接古色。





そして、お木仏は、





今回は、

既存の漆箔の状況を見て、漆箔を施さずに古色仕上げを施しました。







下地と漆の工程が入ると、

どうしても塗り膨れてしまいますが、こういった修理内容ですとその心配は不要。



こういった現状維持の修理の場合は、現状の漆箔の状態によって

修理内容も変わってきます。


施主様がどのような修理を望まれているかを察知し、

どういった修理方法をご提案できるかが非常に大事になってきます。

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