日々雑録

仏像修理のハ・ナ・シ43『座像5寸の阿弥陀像④』(全5回)

2011/09/20(火) 仏像修理の話




少し間が空いちゃいましたが、


修理のハナシⅩⅧ『座像5寸の阿弥陀像③』の続き、

肩つぎ工程の後篇です。




より良い仕上げを施すために少々面倒ではありますが、

この“肩つぎ”工程は必要不可欠。



胡粉下地の上から漆が塗られた未接合の右肩・手首には、





ヌグイ(金箔を押した後に金粉を蒔いた仕上げ)が施され、

腹回りにも金箔が押されました。




そして、右肩部分を接合すると、




このような状態になります。

物理的に漆が塗れなかったり、金箔を押すことが不可能な場合は、

このような要領で進めます。



ですが、まだ工程の途中・・。

右肩の鼠色部分は、まだ胡粉下地の状態です。


接合部分の筋を無くすために

肩の接合が完了後、下地を再度整え、漆を塗ります。






肩つぎした痕跡も無くなり、違和感も全くありません。




ここまで済めば、あとは箔押師が全体を仕上げ、

最終、彩色師が螺髪(らほつ)に群青を塗り、

眉毛や髭、唇に彩色を施し、

白毫(びゃくごう)と肉ケイの珠を固定して完成に至ります。





“肩つぎ”工程は、今回は右肩だけでしたが、両肩の場合があったり、

座像と立像で接ぎ方が違ったり、

想定外の接ぎ方をしている仏さんがあったり、様々なんですが、



修理においては、漆塗り・金箔押しの工程が潤滑にいくよう、

“肩つぎ”のことを考えなければなりません。




さて、次回が最終回になりますが、

修理後のお姿をご紹介し、実際お仏壇にもお祀りしたお姿もご覧頂きます。

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