日々雑録
掛軸修理のハ・ナ・シ2 『江戸前期作・大谷派三幅対修理』(全1回)
2015/01/06(火)
掛軸修理の話
仏壇のお掛軸の修理です。
写真はありませんが、なんせ素晴らしいお仏壇がございました。
その立派なお仏壇内に掛けられた真宗大谷派の三幅対のお掛軸が、
今回のターゲットです。
ご本尊
十字名号
九字名号
歴史を感じさせる本紙。
見た感じ、本紙は何度か修理されてるような。
そんな場合は、裏書きがあるか・・。
九字名号には無し。
十字名号にも無し。
ご本尊には・・・
おお、やはりありました。
さて、何て書いてあるのか・・。
「本願寺 ?釋一如」 とあります。
一如さんは東本願寺の十六代法主。
1679年~1700年の21年間を法主に就かれていたので、
この期間(江戸時代前期)のものだということがわかります。
金線は、金泥でなく截金。
截金の金箔が、ところどころ剥落こそしていますが、
320年もの間よくぞ、ここまで保存してこられました。
博物館で保存するのとは訳が違います。
十字・九字名号の本紙にも損傷は確認できますが、
本紙の剥落の補作は行いません。
オリジナルの本紙を生かし、軸修理を行います。
本紙をはがす工程です。
古い裂地は取り替えます。
上側の色の濃いところは、裏書き部分です。
折れて剥落した箇所には、短冊状の和紙を張っていきます。
こう見ると相当傷んでいたのがよくわかります。
そして、裏打ち。
裏書もこの通りです。
あと、この軸金具。
こちらは、修理をして再利用します。
あまりスポットは浴びないパーツですが、
昔のものは手作りのものが多く、
例えば、こちらのようなプレスの量産品を使用するのが多いようですが、
弊社では極力良いものは再利用します。
そして、完成です。
裂地は、外縁・内縁ともに本金です。
ご本尊の裏側は、このように
裏書きを張っております。
さて、次の修理は何年先になるのでしょうか・・。