日々雑録

ブツネタ484「町のお地蔵さん建立のお話①」

2023/07/01(土) ブツネタ

 

今回から、複数回に分けて

京 都 の  仏具屋 冥利に尽きるお仕事のご縁を頂きましたので

ブツネタの中で、ご紹介させて頂きます。

 

今回、「  京  都  の  」 というのがポイントでして、

京都人なら馴染み深くて、

この文化を後世に伝えるお手伝いが出来ることが大変光栄なお仕事。

 

と言いますのも、今回のご依頼は、

京都府某所に、町のお地蔵さんの祠を建てる案件。

 

毎年8月22、23日に「六地蔵巡り」が行われていることは、過去にご紹介したことがございますが、

 その六地蔵巡りの前後、お盆を過ぎてひと段落した頃に、

京都府内では「地蔵盆」と呼ばれる行事が各町内で行われます。

町のお地蔵さんを囲み、テントを張り提灯を吊るし、ご近所の方が集まり、ゲームやイベントを催す。

私の子供の頃は、夏休み最後の大イベントでもありました。

 

近年は時代の流れと、さらにコロナもあって縮小の一途を辿ってるように思いますが、

京都市が独自で「京都をつなぐ無形文化遺産」として「地蔵盆」を選定されたほど、

京都では、「お地蔵さん」は身近にあって馴染みのある存在です。

 

 

さて、町のお地蔵さんといえば、石仏が大半なのですが、今回のお地蔵さんは木仏。

その木造のお地蔵さんの修理のご相談から始まり、

祠を建てて、トータルでの設計製作のご依頼となりました。

 

 

 町のお地蔵さんの祠で思い浮かべるのは、

石やコンクリートの土台に、木製の祠が設置されて、提灯が吊ってあったり、

町内の方がお花やお水をお供えされ、お地蔵さんの前に賽銭が直に置かれてたり。

そんなイメージでしょうか。

 

 今回も同じように土台があり提灯を吊り、お花やお水をお供えしますが、

設置場所がビルの敷地内のため、

ビルとの調和も考え、ちょっとモダンでカッコよくしようと。

 

 

設置場所はこちら。

 

全体的にグレーの色調。 シックで落ち着きあるビルの一部。

大きな丸柱の前が設置位置。

 

設置スペースは、結構狭くて

幅800mm、奥行500mm

 

特に、奥行500mmは、なかなかの制限です。

 

 

 

さて、

 このお仕事のご相談を受けて、町のお地蔵さん探訪に東奔西走。

お寺の荘厳ですとこうはいきませんが、町の祠は断りも不要で見放題。

京都には本当に多くのお地蔵さんの祠があって、非常に参考になりました。

 

 

当初からイメージとしてはある程度はかたまってまして、

 

外枠は石を使い、天井はアーチ状にして銅板葺き。

格子の扉はステンレスの黒焼き付け。

卍は、打ち出し金具。

賽銭箱は、ステンレスの埋め込み式。

 

 

正面図がこちら。

 

 

この祠の中に、お地蔵さんを祀るわけです。

 

 

 

こちらがそのお地蔵さんです。

 

今回こちらの地蔵菩薩像を修復させて頂き、

厨子自体も新誂させて頂くことになりました。

 

 

 町のお地蔵さん建立のお話の始まりです。

 

次回へ。

 

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