日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ55『太子像の加飾』(全1回)
2014/03/09(日)
仏像修理の話
立像7寸の聖徳太子像が、今回の主役です。
修理といいますか、木地の状態で祀られていた太子像を、
極彩色にて加飾にて仕上げることになりました。
よく彫れています。 きれいな削りです。
今回のポイントは・・
①玉眼の瞳を修正(描きなおす)
②持物の柄香炉が亡失しているので新調。
③礼盤(畳)は、高さを調整、新調取替え。
まず、下地に掛かる前に、
顔(玉眼)、両手、右袖を解体。
玉眼は再度固定しなおし、瞳を描き入れ、
銘書きを残し、お顔を固定しました。
全体に生漆を摺り込み、木地堅めを行った後、
胡粉下地を施しました。
柄香炉は新調です。
不覚にも彫り上がりの写真を消してしまいました。
こちらは漆塗り上がり。
礼盤の木地段階の写真も消してしまいましたので、
いきなり完成の写真です。
畳は薄縁付きの繧繝縁。
こちらは、像内納入品となる書物。
差し首なので、像内に納入が可能です。
和紙に墨書きして頂いたものを、
油紙で包んで、糸で結び、納入です。
そして、完成写真です。
胸元の花の丸は、ご院さんのお気に入りの図柄を用いさせて頂きました。
立像7寸の聖徳太子像。
これだけの小ささで、これだけよく彫れたお像も少ないと思います。
左手が衣を持つところが、今回少々難問でした。
三角形の衣部分を取り付けてしまうと、
その内側が彩色出来ない上、左手の取り付けも困難になる。
先に内部を彩色してから、三角の衣を固定し、
接合部を再度下地で埋めた後に、再び彩色。
仕上がってしまえば、そんなややこしい工程があったなんてわかりません。
まあ、ここだけの話です。
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