日々雑録
仏像修理の話75『唸る台座・復元修理②』
【約半年間、更新が出来ずに申し訳ありませんでした<m(__)m>】
あまりにも日が経ってしまったので、一度おさらいです。
仏像修理の話74 『唸る台座・復元修理①』
</m(__)m>さて、タイトル通り唸るくらいの素晴らしい彫刻がなされた台座。
前回は修理前の台座最上部以外をご紹介しました。
で、台座上部ですが、こんな感じ。
華盤の脚(光脚)までの解説を致しました。
華盤(けばん)自体は、6枚の花の間に蕾(つぼみ)が付くタイプ。
大きな台座では時折見られますが、
今回のような小さめの台座では蕾が付くのは少ないように思います。
華盤の上には、法輪の透かし彫りが入った敷茄子。
そして、バランスよく葺かれた踏み割りの蓮華(蓮台)によって構成されていました。
現代において、在家用でこれだけの段数の台座を新たに製作することは、まずないでしょう・・。
台座の総括としましては、彫刻の一つ一つのグレードが高く、
下手な修理をすると、その良さがかき消されてしまいます。
京都は全て分業。木地、彫刻、下地漆塗り、金箔、彩色・・などの工程を
適材適所、その仕事に向く職人を選び、振り分け、
仕事を見極めることが必要となります。
続いて光背です。
キュッと下側をしぼったカッコイイ舟型光背。
保存状態は良いです。八葉の中心だけが亡失しています。
種の部分ですが、
立体感を出すためにこのように付け彫りをされていることが多々あります。
渦の一つ一つも凹凸を出すために付け彫りをしています。
洗浄して解体をするとよくわかります。(改めて解説いたします)
台座と光背においては、これらを水に浸けて下地を除去し、
木地の状態に戻し解体する作業が次の工程になります。
一筋縄でいかない、大変な作業となります・・・。
そして、本躰のお木仏ですが、こちらの阿弥陀如来像です。
台座と同様にバランスの良いお木仏。
大きな欠損はないのですが、両手は後補のようです。
歴史あるお木仏において、膠の接着力は永久ではないので外れた結果、
亡失され、作り替えられることが多いですが、
お像と調和が取れていないケースが多く、金箔の代わりに代用のものを使用され、お顔や胸の肌の色と異なる色の調和が取れていないことも多々あります。
今回もそのようなケースにあてはまりましたので、両手を取り替えることになりました。
ということで、仏手取替えの工程です。
まずは、既存の両手を取外し、新たに桧材で彫刻。
右手は肘部分は取り外せないので、手首を接合し、
左手は外したまま、下地を施し漆を塗ります。
そして、金箔押し。
あくまで、既存の肌の色や風合いを見て、加飾をどうするか判断します。
今回は、お顔と胸の肌部分に金箔(粉)の風合いが残されていることから、
このように仕上げております。
最終、古色彩色を施し、お木仏の両手の取替えは完了です。
では、次回から、台座光背の修理工程をご紹介いたします。
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