日々雑録
仏像修理のハ・ナ・シ58『阿弥陀如来像・白蓮華台座修理③』(全3回)
さて、いよいよ完成ですが、ちょっとその前に・・。
こちらは、今回の台座に打たれていた錺金具。
八角の台座で、框の二段と、地擦りに6枚ずつ、計18枚打たれていました。
赤く括っているところは欠失箇所。欠失は、この1枚だけでした。
さて、スルーしていますが、
八角の台座で・・・、6枚ずつというところ、
ここを気になられた方が、いらっしゃったら流石です。
八角なのに、6枚?!
後ろ側の部分の金具が省かれているんですね。
この時代の台座では、よくある話です。
でも、それって、僕としては、非常に気になります。
修理が仕上がれば、抜けてる感があるんです。
ちなみに、こちらの写真は、過去に修復した台座です。
参考まで。
ちょっと違和感ありませんか?
今回、その懸念の解消の為、
既存金具を修理し、メッキ替えを施しました。
白で括った部分は新調。
赤で括った部分は、欠失分の補作箇所です。
本来であれば、これで十二分ではあるのですが・・・
で す が・・
いつもより少し思いが強かったせいか、
この錺金具が・・
すいません、イマイチなので、
角の曲げ具合が、気に入らんのです。
ということで、結局、作り替えることにしました。
錺金具ということで、装飾的要素が多いように思われがちですが、
台座の框に打つ錺金具は、
接合部の補強に、非常に有利です。
修理のご縁で、弊社にやってこられる台座を見てるとよくわかります。
金具が打たれていないと、
膠の接着力が弱まり、接合部分が離れて、
バラバラになっちゃうことも少なくありません。
時には、バラバラになって一部が亡失しちゃってたりすることもあります。
膠の接着力が無くなっても、金具が打たれているおかげで、
バラバラにならずにすんでいる例もありました。
ですから、出来る限りは金具を打つようにしています。
今回は結局は、各8枚作り替えました。
台座の金具で、えらく引っ張りました。
ようやく完成披露です。
あと、ひとつ、
地擦りは、元々は金箔でしたが、
ここを金箔でいくと締まらないので、変更可能な場合は、色漆で仕上げます。
今回は、ウルミ系の変わり塗り(通称THE・ラザラ)で★
落ち着いた色合いと、艶のない強調しないところが良い塩梅です。
最後に、
台座は八方全てに、金箔を押しました。
金具も八方打ちです。 普通かもしれませんが、以外とされていないものです。
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