日々雑録
掛軸修理のハ・ナ・シ1『軸表装・親鸞図像の修復』(全1回)
2012/01/09(月)
掛軸修理の話
掛軸の修理をご拝命頂きました。
こちらの軸は、浄土真宗の宗祖・親鸞聖人の絵像。
お東(大谷派)用に表装されておりますが、
今回の修理では、お西(本願寺派)用に表装を変更、
さらに丈を1500mmから1100mmに縮めます。
さて、お像と礼盤・畳をよく見ると・・
彩色の状態が違います。
礼盤と畳の色がお像のと比較すると違うのが分かります。
色は鮮やかではあるものの、
畳の繧繝縁(うんげんべり)部分に剥落が確認できました。
こういった剥落部分には、現状より剥落が進行しないように
剥落止めを施し、すでに色が剥落してしまった部分には、後ほど補色をします。
まずは表具師さんによって、
絵が描かれた絹本紙と表装裂地を取り外し、裏打ちをします。
裏打ちが完了した段階で、
絵師によって補色を施します。
補色が済めば、再度表具師の手に戻し、
軸表装を仕上げてもらいます。
軸金具は、現在は安価品で賄われることが多いのですが、
昔のものは手打ちのものが多く、
今回も掛け軸においても、手打ちの金具でしたので、
取り外して、鍍金替えを施し再利用しました。
そして完成したのが、コチラ。
天地裂地は正絹の緞子、
中縁は本金の麻桐の金廻しで表装。
上品に仕上がりました。
そして、修理前の裂地はこのようになりました。
長期に渡って保存できるのが、全工程を表具師の手によって仕上げる”本表装”。
ご修復においても、本表装による仕事がされていることが前提になってきます。