日々雑録
仏像修理の話90『箔彩色の衣を着た地蔵菩薩像の修復』
2022/05/26(木)
仏像修理の話
素晴らしい彫刻がされた地蔵菩薩像が
修復で弊社工房にやってこられました。
前向きに倒れたのか、両手、鼻、唇、瞼の欠損が痛々しい。。
宝珠を持つ右手が前に差しだすのでなく、
腹前で宝珠を大事に持つ感じが特徴的で格好良いです。
それにしても、衣の彩色レベルが高いです☆
金箔の上から細かな文様が詰められています。
調査を済ませた後は、
水に浸けて修復開始です。
地道に丁寧に下地を除去していきます。
そして、下地除去、解体後。
しかし、惚れ惚れする彫りです。
材も桧の良材が使われています。
良い彫刻の場合は、良い材料が使われていることが多くて、下地なんかも丁寧。
水に浸けて下地を除去するわけですので
洗いざらい、過去のお仕事を見ることが出来るわけです。
良き仕事を見て勉強できることは非常に有難いことですし、
私どもも恥ずかしくない仕事をせねば、と肝に銘じてお仕事しております。
さて、こちらが木地修理後です。
錫杖は亡失しておりましたので新誂。
お肌部分は、黒く変色していますが、これは漆を摺りこんだ痕。
衣は金箔押しのために漆を塗りますが、
肌は白く色を塗るので、胡粉下地となりますが、
強度面を考慮して、胡粉下地の前に漆を摺り込んだということです。
そのことからも、しっかり考えて製作されていることがわかります。
こちらは、下地及び漆塗りが完了した段階。
衣に金箔を押して、彩色の工程に移ります。
胸飾りは保存状態が良く
一部を補足し、メッキ替えをして、繋ぎ替え。
(画像がノイズが入ってしまいました)
そして彩色完成後です。
なかなか珍しい箔彩色の衣を着た地蔵菩薩像のご修復でした。
ご縁に感謝。
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