日々雑録
ブツネタ438「寺号標札の製作」
2019/05/23(木)
ブツネタ
これ、何かわかりますか?

お寺の標札、掛け板です。
墨で書かれた山号と寺号が、日に焼けてしまって、
なんて書いてあるかわからない状態になっています。
この度、この掛板を新しくして欲しいとご依頼を頂きました。
とはいえ、ただ新しくするのであれば、
板を用意して、墨で書いて、コーティングして、
完成して、取り付けました! で終わりなんですが、
今回は、
既存の文字を復元し、新しい板に写し、墨で書くのではなく、
彫って表現するというご依頼でした。
歴代のご住職が書かれた文字の復元は、
照明の角度を変えて、何枚も撮影し、
その画像を取り込んで、画像を補整し、

夜な夜な作業・・

そして、
何とか、ここまでは こぎつけたのですが、

「寺」の字がどうしても復元できず。。。
かなり時間をかけ、寺の字を書いてみたものの、
しっくりくる「寺」を書けず。。。
お寺の山門に掛ける標札ですので、妥協するのも違和感が残ります。
そして、別案として浮上したのが、
過去帳に残されたこちらの字。


過去帳に残された、歴代住職の山号と寺号の字。
くっきりはっきり読み取れます☆
板に転写するとこんな感じ。
なかなか、かっこいい字です。

板は、尾州桧。
目の細かい良材を厳選しました。

文字を起こしたのが、こちら。

さらに、「方」と「寺」を離すことにして、
これが最終決定の文字となりました。

こちらを、今回は手彫りではなく、レーザーにて文字を彫刻。
こちらは彫刻後、彫った中に色を入れた後の写真です。

その後、コーティングをして完成。
取付け完了後はこんな感じ。



彫ってないように見えるかもしれませんが、
結構深く彫れています。
画像を補整したら、わかりやすくなりました。

結構深いでしょ。
手で彫ることが第一と考えておりましたし、
実際、手彫りの方が味があり、その良さもわかっているつもりですが、
今回のように、字を復元したり、データ化して文字を起こす場合、
機械に頼ることもアリだな、っと。
まずは、お客様に喜んで頂くことですね。