日々雑録
ブツネタ422「★復活蝋色(ふっかつろいろ)★」
2018/04/14(土)
ブツネタ
仏具の修復におきまして、正当な(まともな)やり方でやる以上は、
どうしても予算がかさんできます。
弊社は卸業を主としておりますので、
基本、良心的な価格だと自負しておりますが、
代替の工法、天然材料でない工法と比較されると
どうしても値段では太刀打ちが出来ません。
そんななか、
たとえば、解体後の写真にはなりますが、
こんな状態の経机があったとします。
天板が一番わかりやすいでしょうか、
白くぼけた感じで、部分的にカビが発生しています。
製作後20~30年経過している漆塗りの仏具では、
塗面が白く呆けてしまっているものも少なくありません。
多くの場合は、
コンパウンドで磨いて艶出しをすることが多いように思います。
コンパウンドで磨けば、きれいになりますが、研磨剤ですので、
ごく僅かでも漆の塗り面を削っていることになります。
最近、弊社で推進しているのが、
★復活蝋色(ふっかつろいろ)★ ※
『艶が生まれ変わる、蝋色師による特別仕上げ』 です。
別名は、リボーン、ロイロ、スペシャル
リバース、ロメロ、スペシャル ではないです。
蝋色師が既存の塗面の状態から、蝋色工程を行います。
生漆を何度も塗面に吸わせて、漆の艶を蘇らせます。
ということで、
こちらの経机は、復活蝋色と錺金具のメッキ替え。
工程としてはこの2工程による修理を行いました。
こちらが修理後になります。
写真では判りづらいのですが、
コンパウンドでただ磨くのとは、大きく異なります。
漆の膜(層)によってコーティングされたのが大きな違いです。
ただ、どのような状態でもこの復活蝋色が
適用できるかというとそうではなく、
既存の仏具の現状を見た上で、有効なのか、それとも不向きなのかという見極めが必要になります。
我々にとっては、様々な引き出しが必要です。
写真を紛失してしまい、ご紹介するのが遅くなりましたが、
この経机以外にも複数件を復活蝋色にて仕上げてもらっています。
今後は引出の一つとして、この技をお客様にご案内ができるかと思います。
※復活蝋色は、京都市 藤田蝋色工芸による特殊技法になります。