日々雑録
ブツネタ439「変わり塗りと金箔すりはがし」
2019/05/26(日)
ブツネタ
前机をご依頼いただきました。
幅で5尺弱。小さな前机です。
形状は、弊社が数年前に製作させて頂いたものと同タイプ。
大きさや形状では、特筆すべき点はあまりないのですが、
皇族関係と縁があり、十六菊の紋を入れてほしいとのご要望がありました。
正面三間仕切りの中央の連子(桧垣)に、菊彫りを嵌め込み式に。
で、今回、新たな試みだったのが、この連子部分の仕上げ。
当初は、菊の彫りを入れる話がなかったので、
このような、岩絵具(岩緑青)での仕上げで話は進んでおりましたが、
菊の彫りを入れることになったので、その仕上げ方法を再検討。
岩彩色に金箔仕上げの菊彫りを嵌め込んでも、おかしくはないのですが。
・・・で、
連子を変わり塗りで仕上げ、金箔を2回押し、
そして、上部の金箔をあえて擦り剥がす。
変わり塗りの質感と、すりはがしによって、
通常の金箔押しで仕上げた菊紋と、連子に
同じ金箔ですが、風合いに違いができ、コントラストがはっきりしました。
色使いでのごちゃごちゃした感じは全くなく、
上品で崇高美を表現できたように思います。
あと、いつも通り、
引違いには、引手金具を。
これがあるかないかで、見た目も全然違うように思います。
ひとつひとつの仕事に愛情を持って、丁寧に製作させて頂いております。