日々雑録

ブツネタ453「数寄屋造りと神代木」

2020/11/10(火) ブツネタ

 

少し珍しいご依頼を頂きました。

 

こちらがその案件です。

 

 

立派な数寄屋門。

その欄間に嵌っている板が風雨で破損してしまい、

その修理ができないかという問い合わせを頂きました。

 

 

この欄間、画像ではいまいちわかりにくいですが、

虫食い欄間と呼ばれる天然の変わり杢の板が嵌められていました。

 

人工的な彫刻や筬(おさ)欄間とは違い、

自然に風化した材を欄間として魅せるなかなか高尚なセンスの欄間です。

 

ただ、これは天然であるからこそ価値があるのであって、

損傷部分はすでに亡失してしまっています。

 

ということで、まず、

この門の欄間に相応しい風化した板を探しました。

既存の欄間の材は杉でしたが、なんと奇跡的に神代杉の板を見つけることができました。

 

神代杉の神代は、埋もれ木のことで、

倒木が水や火山灰、土砂に埋没し、酸素が遮断されることで、虫や菌によって腐敗することなく、

長い年月(千年以上)を経て、半ば炭化した木材のことをいいます。

弊社では、これまで神代木で色々な仏具を製作しています

 

 

施主様には、

見つけ出した神代杉の虫食い板の欄間と、

数寄屋門で最もポピュラーな筬欄間でのご提案をさせて頂き、

神代杉の虫食い板での欄間をお選びいただきました。

 

 

こちらが、仕入れました虫食い神代杉。

色が画像ではわかりにくいですが、少し青みがかったグレーとでも言いましょうか、

 

カンナで削ってみますと、

ホント独特な淡いグレー。

 

 

今回、幸いに神代杉が手に入りましたが、

仮に杉で作った場合、既存の数寄屋門本体との色は合いませんので、

人工的な色を付けてやるか、余計なことはせず時間の経過とともに馴染んでくるのを待つか、

その二択でのご提案だったでしょう。

 

ですが、この神代杉の色ですと、既存の数寄屋門に取り付けても、

目を剥くことはなく、違和感も感じないだろうというのが当方の見解です。

 

そして、

欄間の枠を、まずは仮のもので製作し、

現場のスペースに問題なく取り付けできるか、現地で木地合わせを行いました。

 

 

この枠も正式には神代杉で製作します。

イメージとしてはこのような感じになります。

 

 

枠の内側に溝を作り、板を嵌め込みます。

さてさて、どのように仕上がるのか・・。

年内納めです。納入しましたら改めてご報告いたします。

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