日々雑録
ブツネタ444「日光月光菩薩像の持物」
2019/11/09(土)
ブツネタ
仏像の持物(じもつ)の亡失は付きもの。
長年祀ってられると、何かの折に亡失したり、欠損したり。
それは、在家でも寺院でも一緒です。
今回は、日光月光菩薩の持物。
日光月光菩薩は、薬師如来の脇侍として祀られます。
この3躰で、薬師三尊と呼びます。
向かって右が日光さん、左が月光さん。
このお二方は、持物を対照的に持たれるのが特徴的です。
蓮華上に日光と月光を表す円形の光がのり、
それが長いアール状の長い茎に付き、両手で持つのが主流。
本躰が金箔の場合は、持物も金箔で仕上げ、
全てを金箔にする場合もありますが、
日光には赤、月光には白の彩色を入れることがあります。
また、上弦の月で表現している月光もありますし、
中には仏画では、そこにウサギを描いているのもあります。
聖観音が片手で蓮華を持つようなものもありますが、
ご意向により、一般的によく見る形式にしました。
下げ手には引っ掛かりがないので、小さなダボを入れて固定させます。
材は桧をですが、強度的に弱いところには、竹串を入れて補強しています。
今回は漆箔で仕上げ、円光には彩色をします。
指に茎を通すときに金箔が擦れてしまわぬよう、
極力、下地と漆で膨れないようにしなければなりません。