日々雑録

ブツネタ479「淡彩截金を施した聖観音像」

2022/06/27(月) ブツネタ

 

 

昨年より、聖観音菩薩像の製作のご依頼を頂いておりまして、

先日ようやく仕上がりました。

 

 

今回は、既存の厨子をお持ちで、

そのお厨子に祀る聖観音像の製作のご依頼でした。

 

 

お厨子は、座像を安置するのに適した幅広の丸厨子。

幅や奥行きに余裕はありますが、扉の丈〇寸で高さには余裕がありません。

 

極力、お像本躰を大きくできるよう、

台座は框と反花と蓮華の大仏座、後光は最短となる輪光背 としました。

 

 

厨子の床板には、割と大きめの四角形のミゾがあって

それを覆うように、框板を作りました。

框板の裏面には四方桟を付けて固定できるようにしました。

 

 

蓮華や反花の彫りは、お像に合わせて規格通り製作しましたが、

框は、幅広厨子の間口に合わせて幅の広いものとしました。

 

 

こちらは、観音さんの木取り。 彫刻前の段階です。

 

 

 

・・で、いきなりですが、こちらは観音像の彫り上がり。

身丈は6寸。 尾州桧材の一木造り。彫眼。

 左手は蓮華を挿した水瓶を持ち、右手は肩から下がる天衣を掴んでいます。

宝冠や胸飾りは彫り出しです。

 

 

 

框は黒漆で塗り上げ、

本躰は、お顔の開眼彩色以外に、衣には淡く色を入れ、

 

 

衣と輪光、持物 に截金を入れ、

 

 

蝋色を施した框板には、

無地の金具と、水晶の抱き金具を取り付けました。

 

 

厨子内に安置するとこのような感じに。

 

 

高さは限度いっぱいまで。

框の幅を広く取り、抱き金具を付けたことで

厨子の空きが埋まり、厨子とお像のバランスは調和がとれました。

 

 

扉の幅も広いので、

戸裏に彩色を入れても面白いですね。

 

 桧が徐々に時代色がついてきますと、

今よりコントラストがはっきりとしてきます。

色の変化も楽しみです。

 

ご納入は2週間ほど先です。 仏縁に感謝。

 

 

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