日々雑録
ブツネタ455「数寄屋門(山門)の欄間納入」
ブツネタ453 でご紹介した 山門(数寄屋門)の欄間取り換え工事の続きです。
神代杉の虫食い欄間 というなかなかレアでマニアックなお仕事。
お肉も仕事もレアなのは大好物です。
さて、今回のお仕事は、神代杉の虫食い板を探し出せたことが幸いでした。
既存の山門に必ず調和するだろうという当方のプレゼンをお聞きいただき、
神代の木に対する価値を、施主様が理解及び関心を抱いてくださったことで話は前向きに進んでいきました。
さて、製作風景です。
虫食い板を最もよい木目になるところで切断し、
四方枠にミゾをつくり、はめ込んで枠をかためます。
虫食い板という言い方には少し迷いもありましたが、
地中に埋もれていて部分的に腐敗か虫食い等によって、このような特殊な杢になっていますが、
残された部分は強度もあり、また腐敗していることはありません。
神代特有の天然の着色がされているうえに、天然に造形された虫くい現象。
まさしく唯一無二のものです。
完成した欄間です。
好みは分かれるとは思いますが、独特。個性的。
念のため、おさらいしておきますと元の欄間はこちらです。
初めてこちらに伺ったときには、風雨による被害で、欄間は既にこのような状態でした。
虫食い板は通しで入っていますが、中央に照明がつくので土台となる薄板を固定。
(照明を同位置に取り付けることはご指定でした)
今回の神代杉はすばらしく良い材でした。
虫食い板のほうも細かい木目ですが、枠はそれよりもさらに目が細かいのがわかります。
これだけ細かい木目の神代杉は今では入手は出来ないでしょう。
山門の欄間として相応しい仕上がりになりました。
防虫と防水、UVの処理をしているので、1段階濃い色になっていますが、
逆にそれも良かったように思います。
しいて言うなら、照明の枠も同様の神代杉で作り直せば良くなるかと・・。
何度かそれとなく申し上げてはいますが、今のところGOはかかりません。
まだ材料は残っていますので、またお会いした折にお話してみたいと思います。
銘木のお仕事も増えてきています。
来春には、また別の銘木でのお仕事の紹介ができるかと思います。
この度は、ご縁を頂きましてありがとうございました。
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