日々雑録

ブツネタ478「聖天厨子の製作」

2022/05/15(日) ブツネタ

 

弊社の製作事例で多いのが厨子。

形状や大きさ、材質や仕様次第で、唯一無二のお厨子に仕上げることが出来ます。

 

その厨子の中で、唯一 祀るお像を限定する厨子があります。

それが聖天厨子です。

 

字のごとく、聖天さんをお祀りする厨子のことですが、

聖天さんは歓喜天、正式には、大聖歓喜天双身天王、大聖歓喜天と称されます。

現世利益の仏様で、密教寺院で祀られますが、

共通するのが秘仏であること。直接お像を拝見することはありません。

必ず、お厨子に祀られることになります。

 

 聖天厨子は、比較的豪華な造りのものが多いように思いますが、

中には簡素な仕様もあるものの、共通するのは円柱型、丸型であること。

それを軸に様々なオプションが付くような感じですが。

今回製作させて頂いた聖天厨子は、なかなか手の込んだ造りとなりました。

 

 

こちらは木地完成時。

扉丈は8寸。

 

屋根は、六つ瓜型で、蕨手が付き、二重垂木。

 

蕨手の付く聖天厨子はよく見ますが、

垂木のある聖天厨子は、かなり上等の部類になるかと思います。

 

こちらは、垂木を固定する前の段階。

 

 

扇状に360度。 計180本。

手間を入れるだけの存在感です。

 

 

そして、屋根上には露盤と宝珠が付き、宝珠には銅金具で火焔が付きます。

 

 

屋根下には、聖天さんを祀る円柱型の厨子が位置します。

 

こちらは円柱厨子の向板と上下の框。

接合部にはミゾを設け、強度を上げたつくりにしています。

 

 

 続いて、ご紹介するのは彫り物(木彫)です。

 

聖天さんといえば、大根と巾着袋。

 

 

 三弁宝珠付きの唐草

 

荷葉

今回動きを持たせて、

シンメトリーな荷葉ではなく、不規則な荷葉の翻りを意識しました。

 

あと、屋根下には雲の彫刻も付き、

見ていて楽しくなるつくりですが、逆にそれぞれのバランスが合わないと逆効果にもなります。

 

 

漆塗りと並行しての工程になり、

塗り上がりを待って、一度仮組みを行い、仕上がりを確認します。

 

溜漆はこの後、蝋色師に渡り、より上の鏡面に仕上げます。

 

ちょっと埃がついていますが。。

こちらは扉の内側。

 

 金箔を押す前に、摺り上げという工程を行った後のもの。

平面の部分、特に厨子内部はより箔の仕上がりが求められますので、

摺り上げという工程が必須になります。

 

 

 

荷葉に関しては、盛り上げで葉脈を表現。

最後に淡く彩色を入れて仕上げます。

 

 

 

メッキが仕上がった錺金具です。

瓔珞はまだです。

 

 厨子本体にはこれだけの金具を取り付けられます。

 

 

 

完成後の写真です。

 

上からまいりましょう。

宝珠に付けた火焔は、宝珠が金箔押しなので、

風合いを合わすために金箔を押しました。

宝珠と火焔に一体感があります。

 

蝋色を施し、溜漆に写りこむ火焔宝珠がカッコよい。

これ見ながら飯が何杯でもいける感じです。

 

 

瓔珞は誇張しすぎないように。 手打ちで製作しています。

もう少し大きくてもよかったかな。

繋ぎ玉は水晶と瑪瑙で。

 

大根と巾着も小さい彫刻ではありましたが、

かなりの存在感。

 

 

基本、扉を開けることはないのでしょうが、

やはり聖天さんを祀られるとなれば、こちらも気が引き締まります。

 

 

良い仕上がりになりました。

ご縁に感謝。

 

 

 

記事一覧|ブツネタ

1ページ (全48ページ中)

ページトップへ