日々雑録
ブツネタ487「町のお地蔵さん建立のお話④」
町のお地蔵さん建立のお話も4話目。
前回は登場しなかった祠の工事も、終盤。
石を設置していくと、祠の雰囲気がぐっと増してきます。
全ての石が設置できました。
この後、屋根の曲線には銅板葺いていきます。
さて、ステンレスの黒焼き付け塗装がされた格子の扉下には、
丸く刳り抜いた穴があります。
ここに前回ご紹介した、銅地の打ち出し地彫りの卍金具を取り付けます。
水銀箔鍍金を施したあとに、魚々子を打ちました。
普通の電気メッキの感覚では、
彫りが完了してからメッキを施すというのが通常の流れですが、
水銀箔鍍金の場合は、金が金属に浸透している分、
鍍金をしてから魚々子を打つこともでき、
魚々子自体も、よりくっきりと粒が出ます。
2粒打ちの魚々子。 丁寧な仕事、粒にメリハリがあります。
この立体感のある卍が、裏から打ち出しで、1枚の板から出来ていると
そこまで見られる方は少ないかもしれません。
内側を見れば一目瞭然なんですが。
鋳造品ではなく手仕事で作られた金具を、今回の祠には取り付けさせて頂きたくて、
施主様にご提案をさせて頂いた次第です。
金具の内々に木を嵌めて、側面から鋲で止めて、鋲の頭をルーターで削ってかしめて固定。
ボルトを固定して、祠に取り付けます。
さて、次にお地蔵さんですが、
彩色を施す前の下地の作業へ。
先ずは、生漆を塗って木地堅め。
胡粉と膠による白地を塗っては研磨。
この工程を繰り返して、白地が完成。
そして、この後、
台座の一部も含めて、彩色の工程に移ります。
新誂している光背も、
彫り上がって、漆を塗り上げました。
光背はこの後、金箔を押して完成になります。
お地蔵さんの修復完成は次回にご紹介しますが、
先に、厨子の完成をご紹介しておきます。
こちらが、弊社オリジナルの八華型厨子。
かなり細かい縮杢部分を厳選した極上の栃材で製作しました。
栃の縮み杢はよくみられますが、
ここまで細かいのは希少です。 扉一面の縮杢は圧巻です。
光の当たり具合で色んな表情に変わります。
こちらは屋根の天場です。
繊細で美しい曲線がより上品に演出。
厨子の完成報告が先になりましたが、
次回はいよいよ、祠と地蔵尊の完成報告をさせて頂きます。
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