日々雑録
ブツネタ498「3年続けて地蔵祠の製作」
私の大好きなお仕事。
3年続けて、お地蔵さんの祠のご依頼を頂きました。
昨年の投稿を見て、
カタチが良いと関心を持って頂けたとのこと。
今回の祠は、前回よりも大きく屋根張1100㎜での製作です。
前回が、屋根張810mmでしたので、3割以上も大きくなります。
今回の祠に祀られるお地蔵さんは、像高650㎜。
前回製作の祠に、実際のお地蔵さんの画像を入れてみました。
前回と同様に床板はなく、土台に直接、石像のお地蔵さんを安置します。
大きさ以外は、前回の祠と概ね同じではありますが、
2点グレードを上げました。
それが懸魚と連子窓。
前回の祠は、懸魚をシンプルな仕様としましたが、
今回の懸魚は表は彫刻入りとし、(裏はシンプルな形状)
連子窓に関しては、今回は正面と後面の前後に、透かしの連子窓を入れることにしました。
というのも、
三方を壁で覆われている前回の立地だったのに対し、
今回は四方に壁がなく360度から祠を拝めます。
透かしの連子窓については、
地蔵の祠で取り入れているのは他社製ではないでしょうから、
今回の両面連子窓はなかなか面白いかと思います。
材料は総桧材。
まずは屋根の基礎から。
こちらは胴の部分。
外置きですので、きっちりホゾ組みの構造とし、
接合箇所には、雇いザネや留めを全てに入れて固定。
組んでしまうと、どのような構造なのかわからなかったりしますが、
仮に、こういった補強がなければ、早々に問題が生じるでしょう。
こちらは、脇板の端切れです。
接合部に溝を作って、別材(矢印部分)を入れて接合している雇いザネの補強がよくわかる画像です。
そして、屋根です。
反り方やバランスがとっても大事ではありますが。
さらに強度面なんかは、こちらの画像を見て頂ければ納得頂けるかと思います。
屋根は太鼓状にして、これだけの数の根太を入れています。
板を葺いていくわけですが、
上の板は、3層にしています。
物置のCMやないですが、上に乗っても大丈夫です。
屋根が出来れば、板金の工程に移り、
銅板を使いたかったのですが、予算の関係で、今回もガルバリウム鋼板を使用しました。
銅と違ってかなり硬くて、なかなか大変そうです。
板金で葺ければ、屋根は完成になります。
残るは、今回パワーアップした連子窓と懸魚。
枠に連子棒を5本ずつ取付け、
前後両面に設置。
そして、懸魚はこちらが前面。
彫刻、六葉入りで立派に。
後面は、シンプルなものとしました。
今回は祠の製作のみのご依頼で、
基礎工事や設置は、設計士さん側がして下さります。
それでも、弊社で出来ることは、前回同様に
底面には、生漆を摺り込んで養生をし、
柱内部に鬼目ナットを取り付け、
四隅にステンレスのボルトを固定できるようにして、
角座金分が、空くことで
雨で土台に溜った水が、浸りません。
無事に設置をして頂き、拝見してきました。
後面の連子窓から、陽が入ると後光が差す感じになれば・・。
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