日々雑録
ブツネタ260 「六鳥型前卓の大変身★」
2011/11/20(日)
ブツネタ
中尊前の六鳥型前卓。
真宗本願寺派で使用されます。
彫刻の下地を除去し、木地の状態に戻した際にブログで紹介させて頂きました。
ブツネタ242 「洗い終了~!六鳥の彫り★」
幅6尺ある大きな卓ですが、仕様は三方金(三方箔押し)仕上げ。
今回の修理では、仕様を大きく変更し、大変身を遂げました。
仕様は、
“溜漆塗り 蝋色研ぎ出し 彫刻極彩色仕上げ”
溜漆を塗り、蝋色を施し、
面や入子枡、裏板には金箔を押し、
独特な溜色と金箔、あと錺金具のコントラストがはっきりし、
前卓の存在感が出ました。
そして、彫刻は、
岩絵具を使用し、上品に仕上げました。
もとは金箔が押されていた彫刻。
彫刻は、下地+漆+箔の層になっていましたが、
その層を除去し、木地に戻し、
新たに胡粉下地を施し、岩彩色仕上げ。
出来る限り手を入れて、
修理後に喜んで頂けるように・・。
脇袖の龍の髭は、金箔を焼き付け。
髭の金箔もいい感じです。
豪華絢爛な六鳥型の前卓ですが、
溜漆や岩彩色が上品に仕上がり、
卓全体としても、内陣の一仏具としても調和が取れ、
非常に良い存在感が出ました。
それぞれの工程において職人さんが
精一杯のお仕事をしてくれはった結果です。
修理では、元通りの仕様で仕上げることも多いですが、
このように、仕様を変更することで、
その仏具の良さを引き出すことが出来る場合もあります。
今回の前卓の修理においては、
既存の六鳥型を良いところを引き出せたかと思います。