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私の師匠はずっと、「一人一仏」ということを提唱してきました。「一人一仏」というのは、早い話が「自分で仏さんを彫ってみませんか」ということです。
私も師匠に倣(なら)い、みなさんと仏像を彫っています。面白いことに、技術は覚束(おぼつか)なくても、一生懸命彫っているうちに、仏像に魂が入るんですね。そうなれば、その仏像はその人のかけがえのない分身みたいなものです。
そうやって、自分の魂をこめた大切なものを一つ持っていると、他人の大切なものも不思議とわかるようになります。自然に思いやりの心が持てるんです。そうするとむやみに他人を否定することもなくなって、「お互いさま」という気持ちが生まれてくる。
出来すぎた話だと思われますか?そう言う前に、一度だまされたと思って、仏様を彫ってみませんか。忘れかけていた大切なものを、ふと思い出すかもしれません。
仏師になって30年、私は今ほど仏像が必要とされる時代はないと思っています。人心はかつてないほどに荒廃し、今、歯止めをかけなければ、私たちは恐ろしい所へ行ってしまうのではないかという気がしています。
昔、仏師は命がけで仏像を彫り、その仏像を人びともまた、命がけで拝みました。人びとにそんな思いを抱かせる“平成の仏”が彫れたら・・。これからの私の夢であり、課題です。
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