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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理のハ・ナ・シ24 『超レアな仏像と盆葺き蓮華座◆(全3回)

2012年08月14日(火)



前回、『超レアな仏像と盆葺き蓮華座 からの続きです・・。



阿弥陀如来座像の後頭部に気になる損傷がありました。


それがコチラ




虫食い被害の著しいスポンジ状態かと思っていたのですが、

そうではないようです。


上層は胡粉下地と漆の層があるものの、

その中は空洞で、中から籾殻のような繊維質が出てきました。



これは・・・ 初めてのケースだぞ、と。


いろいろと調べている間にも、この繊維質が孔から出てきます。


この孔から竹串を挿入すると、大きな摩擦も無く、

内部の空洞化が進んでいることがわかりました。



そして、念には念をということで、X線撮影を行いました。



まず、こちらのX線写真をご覧ください。






こちらは、以前に撮影した立像の阿弥陀如来像のX線写真。


この立像の阿弥陀像は、木造・寄木造り・玉眼 です。


まず、頭部の写真を見ますと、


螺髪のボツボツの中に、丸い珠が2つあるのがわかります。

これは、肉髻珠と白毫珠。


あと、その珠の下側に、細長い三日月状のものが2つ並んでいます。

これは、玉眼です。

珠・玉眼とも水晶で出来ていたので、このように白く写ります。



そして胴体ですが、

どういった表現が正しいのかわかりませんが、
全体的に黒くスッキリした写りです。


内刳りがされている構造でしたので、

胸から足元にかけてスッキリ黒く、

手や袈裟、足元なんかは少々曇った感じです。

パーツが重なった部位だからです。



まあ、このように写るわけですが、




では、この立像のX線写真を踏まえて、

今回の座像の阿弥陀さんのX線写真を確認してみると、






予想はしておりましたが、

先程の木造の阿弥陀立像との写り方が、異なるのがわかります。








こちらは真上から撮影。




まず先に、肉髻珠と白毫珠らしきものは確認できますが、玉眼は確認できません。



そして胴体ですが、全体的に小さな均等でない物質あちこちに写っています。

この物質は何かわかりませんが、

籾殻とそれ以外の物質が混在されたもので造形されたかと推測します。



白鳳〜奈良時代にかけて用いられた工法で塑像(土造)がありますが、

心木も確認出来ませんし、現存は考えられず、まずこの工法ではないでしょう。



江戸期において、このような特殊な工法で制作されていた仏像もあると

当社仏師で申すものもおりましたが、



結局は、これ以上のことはわからず。




当社としましては、


どのように修理することが望ましいかが、最も重要になります。


もちろん、どのように制作されたものか、どのような原材料なのか、

とことん調べたいという気持ちもありますが、



X線撮影をすることで、

ぼんやり見えていた修理方法が、はっきりと見えましたので、

調査は終了。 これから先は修理にかかっていきます。




修理内容は、

仏像は現状を維持し、損傷している部分のみを修理。

木造でないので、空洞化している内部に樹脂を含侵していくことにしました。










また、盆葺きの蓮華座と光背は、

下地を除去し、木地に戻す復元修理を施しますが、





立派な光背をもう少し見せたいのと、

明らかにカットされた台座で違和感を感じましたので、





反花より下の段は使用せず、框座を新調し取り替え、

不格好にならないようにすることと、
若干でも台座丈を低くするように改造することにしました。



では、次回は、修理工程をご紹介していきます。




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修理のハナシ29 

『超レアな仏像と盆葺き蓮華座 

『超レアな仏像と盆葺き蓮華座』