京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

掛軸修理の話4 『幕末・十字名号軸修理』

2016年01月23日(土)




十字名号の掛軸をお預かりしました。





とはいっても、お預かりしたその場では確認が出来ないくらい損傷著しく、
工房にての現状確認となりました。




紙に力がなく、動かせば傷みが増していく感じでしたが、
力強い字と、多少剥落はあるものの截金の蓮華は健在です。













あと、裏書も残されていました。

よく耐えたな、って感じです。





判りにくいので画像を処理してみると、





なんとか「廣如」の字を確認できます。


文政9年(1823年)に第20世宗主を継職された廣如上人。
その代に作られた掛軸ということになります。


修理工程ですが、


まずは、「はがし」


こちらは裏書き部分。
レーヨン紙を水貼りして養生し、裂をはがしていきます。





こちらがはがしたところ。





こちらは本紙。



養生のレーヨン紙を乗せることで、
汚れを浮かせ、洗浄の効果もあります。
(白い紙に茶色い汚れが付いているのがわかります)


そして、古い裏打ち紙をはがしていきます。




全ての裏打ち紙をはがしました。






次に「肌裏」

本紙の裏に、裏打ちをします。
本紙の色が茶褐色になってますので、近い色の紙を使用しています。
天然矢車による染料による和紙です。





次に、「折れ伏せ」

光を当てて、本紙の折れているところに部分的に、薄い和紙を貼っていきます。
本紙の補強です。







次に「増し裏」

裏打ち後、仮貼りをして乾燥しているところです。


裏打ち作業中の写真はございません。悪しからず。





その後、「総裏」

3層目となる裏打ちを経て、風帯や軸を付けて完成になります。




紺系の正絹緞子裂地に、麻桐。












裏書きも見にくいですが、
画像処理すれば、この通り。


きっちり墨書きは残っています。



寸法は200代。


約200年前のお掛軸が、平成の修理を経て
次世代に受け継がれることとなりました。