京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

ブツネタ416「香合の修理と新誂」

2018年01月29日(月)



香合の修理と新誂の依頼をたて続けにお受けしました。


香合とは、香を収納する蓋付きの小さな容器のこと。
合子(ごうす、ごうし)とも呼ばれます。


仏具としては、


携帯用として使用されるものと、机上に置かれるものと大きく2通り。

あと、茶道でも茶室を清める意味で使用されます。



程度の悪い焼香の香りは、良い香りとは程遠いですが、

白檀や沈香など、本当に良い香木の香りは心落ち着きます。




彼女を虜にするメンズフレグランスの、、、





第1位が白檀だったら、



時折、白檀臭がする僕はもう少しモテたかもしれない。。。






さて、ご依頼頂いた香合の修理のひとつめはこちら。



御父様であるご住職様から頂かれた香合の蓋を、
欠けさせてしまわれた副住職様からのご依頼でした。


一般的な欅の香合ですが、
贈りものですので、傷んでいない身側はそのままに、
蓋だけ製作してくれないかというお問い合わせでした。


何軒も仏具屋に問い合わせをされたようですが、断られたとのこと。

・・・となれば余計にお受けしたくなります。


・・で、私がご提案させて頂いたのは、



折角の贈りものですので、蓋をまるごと替えるのではなく、

傷んだところのみを修理し、蓋も現物をお使いになられては・・・。



というご提案。

やはりこの蓋を使うべきだとご提案させて頂きました。





でも、なかなか手間の掛かるお仕事にはなります。

欅には摺り漆がされているので、

漆による飴色の一段濃い色に変色しています。

部分的に補作し、その部分を色合わせするのは困難です。
(例えしたところで、不自然になってしまいます。)



となると、一度研磨して漆部分を除去してやらねばなりません。




このように、漆を摺りこむ前の状態に戻し、

既存の杢目に合うように補作(埋め木)をしてやりました。

(赤斜線の部分です。)




なかなか木目をあわすのは一苦労。

端材を探しに探してこのように木目を合わせました。


ただ、導管(どうかん)までは合うものはなく、

どちらかといえば、導管は身側の方がよく似てます・・・。



そして、摺り漆にて仕上げると、こんな感じに。



埋め木した部分は、木目は合っていますが、

摺り漆の色にに関しては浸み込み具合で、

蓋側よりも身側により近い色になりました。


ホントはもう少し色を合わせたかったのですが、
予算もあり、ここが限界でした。


ただ、贈りものを大事に使用する面では、
この修理方法が最も相応しかったのではないでしょうか。





あと、併行して




少し大きめの床置き用の香合の修理をお受けしました。

蓋の天場には変形の笹竜胆の蒔絵。




側面には唐草の蒔絵が入っています。


直径5寸の香合と少し大きめですので、

長い年月をかけて木が動き、接合面に隙間が生じ、

蓋を被せるとカタカタとぐらつく感じになっていました。


今回、木地修理後の写真はないのですが、

木地の修正を行い、漆を塗替え、蝋色で仕上げ、


天場の笹竜胆はこちらに合わせ、側面は復元とし、
蒔絵は平消しにて仕上げました。






あと、これまた並行して、

今度は新しく香合を製作するご依頼を受けておりました。


こちらのご依頼は少し珍しく、

新しく製作するものの、古美色風の仕上げにして欲しいというご依頼。

ちなみに直径は2寸5分。


黒漆の蝋色仕上げにしますと、

所謂、漆黒の深みのある仕上がりになり、塗面は鏡面と化します。

そのような、黒蝋色とは違い、

艶を消し、そのうえ、家紋を古美色で表現して欲しいという複雑なご依頼。


本体自体を艶消しで仕上げ、

蒔絵は、平磨きの上、溜漆を摺り漆のように薄く塗り、

このような、古美色の香合が仕上がりました。

ちなみにこちらの紋は、丸に麻の葉桐。






5寸の香合は、平消しといって消粉(金粉)を蒔きっぱなしなのに対し、

2寸5分のほうは、磨く工程が入るので手間の要る工程になります。



香合は仏具の中では最も小さい部類になりますが、

木目を生かしたり、色漆で仕上げ蒔絵を施したり、


様々な加飾方法があって非常に幅は広いです。




香合自体が、仏具や茶道具にとどまらず、

高尚なお洒落道具として、普及しても良いのになあと思います。






ただ、言ってる自分が持っていないのが実状でございます。