京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏具修理の話11『焼香机の修復』(全1回)

2019年07月30日(火)





今回は、幅3尺5寸の焼香机のご修復(塗替え)です。


弊社は製作卸をさせて頂いております。

近年の卸としてご縁を頂くお仕事は、
なかなか厄介な、一筋縄ではいかないようなものが多いのですが、

今回のような、比較的オーソドックスな造りの修復は、
逆に珍しくもありました。



せっかく修復されるなら、見違えるくらいのお仕事をしたいと思っています。

今回はその良い一例となりました。


今回のそのオーソドックスな机。




正面が三間仕切り、脇は一間。脇袖が付くタイプ。


格狭間には、宝相華唐草極彩色の彫入り。

溜漆塗りで毛彫りの錺金具打ち。三方造り。


正面のヒレが割損しています。


考察はこんな感じでしょうか。






おおっ! っと。

彫刻は、宝相華唐草と言いましたが、脇は華がありませんね・・・。

ちょっとこの彫刻は気になりますね。。。


まずは、錺金具を外します。

1枚だけ不足分がありましたので、それは新補します。






あと、弊社が出来るだけきをつけていること。

それが、この面出し。





修復期間が無い場合は出来ないときもありますが、
面の部分の漆を除去します。

木地の段階では、くっきりと段差がある面ですが、
下地と漆がのると、その面もボテッと埋まってしまいます。

さらに塗替えで、新たに下地と漆がのれば、さらに埋まってしまい、
その境界はよりわからなくなってしまします。

ということで、面出しということで、
面部分の漆や下地を除去する作業をいたしました。




そして、格狭間に入る彫刻ですが、


こちらの5枚が既存の彫刻です。




これ弊社が納めたらしいんです。。。先代社長の時代に。

なんとも恥ずかしい・・・。



昭和の50年代半ばあたりでしょうか。

その頃は、驚くような良い仕事もあるのですが、今回のような残念な仕事もチラホラ。

脇の彫刻2枚はセンスが悪く、極彩色は手間が感じられません。


余所の仏具店の仕事についてはこの場でダメ出しする訳にはいきませんが、
弊社の仕事ということなので。。。


ということで、

正面の3枚は下地を除去して木地に戻し、
両脇の2枚は新たに彫刻しました。






その後は、胡粉下地を施して、

彩色で金箔になるところを、部分的に漆を塗ります。





そして、金箔押し。




これは、私の拘りでして、

多くは、白地の上に漆を塗らず、直に金箔を貼ります。


金箔を貼るという表現は意図的にしてまして、
この場合彩色師が箔を貼ります。

今回のように漆を塗れば、箔押師が漆を使って箔を押します。

はっきり言って、大きな見た目の違いはありませんが、
やはり漆を塗ることで、白地に直に箔を貼るより、艶が出ますし、
白地に直接だと、ザラザラ感が少しわかります。

でも、ほんと僅かな違いです。





でも、そのほうがきれいだと、私は思います。


彩色も既存分は一色ですが、順次濃淡を付ける繧繝彩色にしていますし、

線描きを修復分は金泥を使用しました。



ここまで仕上がりに差が出ると修復のし甲斐があります。


本体自体は、同様にタメの蝋色漆を塗り上げて、




蝋色師さんが研ぎ出して生漆を摺って、鏡面に仕上げていく。

蝋色したら、それだけで満足される方もおられますが、

蝋色もピンキリ。

写り込みを見てみて、鏡面具合がこれくらいになるのが
私の求めるレベルです。


面出ししたところはこんな感じに仕上がりました。



そのまま塗っていれば、境界がわかりづらくて、
金箔を押すことでその境界が判るという感じに、なっていたはず。




修復後(完成)は・・・・









喜んで頂けたそうで。
その声でまた頑張れます。