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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理の話37『柘植の観音さん、どこを修理したの?』

2018年01月13日(土)






今回は、聖観音像の損傷部の部分修理をご紹介します。


在家用の聖観音。立像で身丈5寸(生え際までの高さが15僉法


今日は、修理後の写真から見て頂きます。





修理後といっても、光背が大きく欠損しています。

今回、こちらは修理の対象ではありません。
修理したのは本躰、聖観音像です。


実は、台座・光背・本躰が、“かなり”がっちり接着されています。
(接着剤の固定は、修理において難題になるばあいがあります)



無理に外そうとすると、透かし彫りの光背は強度が弱く、
傷めてしまうかもしれません。

検討はしましたが、
当初のお客様のご意向通り、本躰のみの修理をさせて頂きました。



・・・でどこが傷んでいたか









木仏で傷みやすいのは、指。

その次に耳朶。

仏の耳たぶには穴が開いていて耳朶環(じだかん)とよばれています。

今回は環になってないですが、輪になっていると強度が弱く欠損し易いです。


あと、

観音さんの場合は、

天衣をまとっているので、この部分も非常に損傷し易いです。


損傷しやすいので気をつけてね★ということを言いたいのではなく、

どこを直したかわからなければ、



それは我々にとって、良い仕事をした☆ということになります。



仮に、指が欠けたとして、指を補作したのはいいけれど、

明らかに形状が不自然だったり、



あ!ここ修理しているな!というのが目立つようではいけません。

補作したところは、人工的に色を着けて目立たぬようにするのですが、

残された部分の状態(修理しない現状を維持している部位)によっては、



多少の色や風合いの違いは出ます。








・・・でどこを直したのか




こちらです。






正解は、右手の中指、左手首から手、そして左手に持つ蓮華。




蓮華に関しては、丸ごと亡失していたので新しく作りました。




材は、柘植(ツゲ)。



とっても白い色をしている木ですが、
時代の色が付いて、ここまで濃い色になりました。


普段、柘植の材を使用することはほとんどないのですが、



出来れば同材で補作したかったので、入手しました。








左手は肘辺りから切断していたので、

腕釧(わんせん/装飾品・ブレスレット)も彫り出しています。


改めて申しますが、

台座と光背と本躰が接合されてしまっていますので、

特に光背が外れないのは、仕事がし辛いのは言うまでもありません。





とっても丁寧に彫り出し、接合面がとってもきれい。

でも、このままといわけにいかないので、

この後、既存の部位との色合わせをしました。


色を作って、着色をするわけです。






そして、こちらが修理前の状態です。








左手にはボンドがたっぷりと・・・。

取れてしまった後、接着されたのでしょうが、

そのパーツは亡失してしまったのでしょう。


水性のボンドでしたので、湿らせて除去することはできました。

水性でない接着剤を使われていたら、

さらにややこしい修理になっていました。












右手は中指の1本が折れてしまっていました。



ということで、

おそらくどこを直したか、気になられなかったことと思います。

決して派手なお仕事ではないですが、技術力のいるお仕事です。