京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理のハ・ナ・シ49『剥ぎ目遊離修理と後補の取替』(全1回)

2012年01月19日(木)



お身丈9寸の阿弥陀如来像が、

当社に修理のため、やってこられました。







均整のとれた阿弥陀像ですが・・






まず、両手が後補。











本躰と比べると、両手のバランスが非常に悪く、

彫刻の完成度は低く、漆箔が施されてません。




そして、右足先も後補。





左足先は、オリジナルが残っていますが、

両足先を比較するとその違いがよくわかります。




さて、こういった修理は頻繁にあるのですが、

今回少し厄介だったのが、












剥ぎ目の遊離から、漆箔層の亀裂、剥落が生じています。


膠による接着力は既に効いておらず、挿し首部分は回転するほどです。




今回の修理では、


現在のお木仏の雰囲気を変えないために、

下地除去および漆を塗り替える復元修理ではなく、

損傷部のみを補修し、古色にて仕上げる方法と採りました。




あと、台座自体にも少々問題があり、





台座の蓮台(葺蓮華)が中心に合っていなかったり、

光背の先が欠損していたり・・。




両手や、右足先もそうでしたが、

後世の修理箇所を補修するのが結構厄介だったりします。

この蓮台も、ボンドでガッチリ固定されていて、

中心に合わすだけのことなんですが、

取り外すことで、傷んでいない部分を傷つける可能性もあり、

慎重なる作業が必要になってきます。




まず、両手、右足先の新補(取替え)から。


お客様の思い描かれるイメージに出来る限り近づけるよう、

度重なる打ち合わせを行い、桧材にて新補いたしました。













右足先は、左足先に形状を合わして制作。







そして、剥ぎ目接合部の亀裂・剥落は、











接合をし直し、錆地(漆+砥粉)にて表面を整えました。




小さなお木仏ですので、塗り膨れる違和感から漆は塗らず、

錆地補修を施した表面には、直接古色を施します。




あと、光背先の欠損部分は補足。





こちらも、漆箔の状況(色艶)を見て判断し、

漆箔は施さずに直接古色といきましょう・・。



そして、蓮台も他の部分を傷ますことなく、

中心に合わし固定することが出来ました。







両手と右足先に関しては、




漆を塗って、





金箔押し。

爪や関節の筋が塗り膨れて、消えてしまわぬよう、

塗師さんには注意してもらいました。




その後、古色を施せば完成です。


















こういった修理は、

何通りもある修理方法の中から、最適なものを選択し、

慎重かつ丁寧に修理を進めていきます。


制作当初の古い状態を生かすことが前提となり、

そういった心得とお客様のご意向を理解することが、まず第一であると考えます。