京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏壇修理の話5 『明治期作の京仏壇・2回目の修理◆戞柄2回)

2016年02月23日(火)


前回からの続きです。



お仏壇の「洗い」とよく言いますが、

いわゆるお仏壇の「洗い」とは、ただ洗うということではなく、

解体をし、金具を外し、
木地の損傷部や歪み、反り、割れ等を補修し、


下地をし直し、漆を塗り替えて、
蝋色を経て、金箔を押し替え、
蒔絵もし直し、彩色もし直し、
金具は修理し新たにメッキを施す。


・・ということで。

この内容は100%の修理になります。






かたや最近は、素うどんならぬ「素洗い」というのがありまして、

こちらは塗り替えをしない、単なる「洗い」になります。




解体して、金具を外し、苛性ソーダで汚れを落とし、金具はメッキ替え。

障子の紗を張り替える。

あと、洗って取れってしまった彩色を補彩するくらいでしょうか・・。

それなりに手間はかかりますが、こちらを20%の修理とすると、





今回は75%くらいの修理でしょうか。




今回のように、保存状態が比較的良い場合、

部分的に塗り替えをせず、洗浄や磨きのみにすることでコストを削減したご提案を
ご提示することが可能です。

例えば、



屋根廻りは煤の汚れは付くものの、


あて傷や箔擦れも少ないので、





塗り替えなしでも、薬品で洗うだけでそれなりにきれいになります。



欄間(前挟間)の彫刻も損傷がない場合が多く、

今回も損傷がなかったため、洗浄のみとしました。






淡彩色が施されてましたが、さすがに一緒に落ちてしまいます。


京仏壇の場合、彫刻は消粉(金粉)が蒔いてあることが普通。

これを塗り替えて消粉で仕上げるとなれば、結構なコストが掛かります。


今回は、洗って乾かして、洗い流れた彩色を復元し完了になります。




あと、他の部位で気になるのが「蒔絵」です。


蒔絵師さんには申し訳ないのですが、既存の蒔絵が立派であればあるほど、
それを生かすことが出来ればコストを削減できます。


今回の場合、内部の3杯引き出し、障子の腰板、下台の猫戸に蒔絵が施され、
保存状態も良いので、それぞれを現状維持することにしました。


あと、屋根廻りだけでなく、須弥壇、中段、下段を概ね塗り替えなしの
洗いと磨きだけで修理を進めることにしました。











さて、今回のお仏壇で特徴的なのは、この溜塗り。





大抵傷だらけになってることが多い雨戸ですが、
今回は塗り面に傷もなく、ホント保存状態は良く、


金具の損傷があったのと、





戸板に反りが生じてました。





金具の損傷は問題ないのですが、
この戸板は取り替えないと、きっちり閉めることができないのと、
金具を直したところで、鍵も掛かりません。



ということで、雨戸は木地の取り換えが必要となりました。


雨戸を取り替えるとなると、


溜塗りの色を合わすとなれば、蒔絵ははいっているものの、


猫戸の板も塗り替えが必要となり、蒔絵は描き替えとなりました。







修理内容が20%であろうと、75%であろうと、100%であろうと

手間を抜くことはなく、きっちりしたお仕事をさせて頂き、







そして、完成に至ります。




今回の場合、


外側に関しては正面のみ塗り替え(赤斜線)、
側面は洗浄と磨きのみ(黄斜線)とし、




障子も雨戸も塗り替え。
(障子の腰板は現状維持)






内部は三方板と、養生板を塗り替え(星印塗り替え箇所)、





欄間の彫刻は洗って、彩色のみ。




金具も修理し取り付け。




ということで、


ご意向とご予算とをお聞きした上で、


20%の修理から100%の修理まで、様々なご提案が可能です。