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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏具修理の話9『説相箱の修理』(全1回)

2017年05月02日(火)

法要儀式のなかでも説教に際して、導師や講師が様々な道具を入れる箱を


据箱(すえばこ)や 説相箱(せっそうばこ)といいます。


このたび、その説相箱の修理をご拝命頂きました。


こちらがその説相箱です。







総金具打ちの説相箱。


時代を感じさせますが、
今の時代の流通しているプレスや電鋳金具で作られるものと違い、


正真正銘手打ちの錺金具で作られた説相箱。


定紋の金具もいわゆる地彫り。

今ではここまでのグレードは製作が困難です。。。



一部の欠損はあるものの、概ね既存金具が残されていたことは
非常に幸運でした。


その一部である金具の欠損部分です。
金具自体は保存状態は良かったのですが、この隙間から見える木地が何か不安を感じさせる。。。そんな予感はしておりました。





底のあげうら部分はこんな感じでした。



地擦りには金具が打たれ、四方の立ち上がりにも金具が打たれ、
あげうらの底板には漆箔の仕上げに。




見えない部分に気を遣うところは優良品の証でしょうか。


かたや天場内部には金襴が張られていましたが、





色もあせて裂地にも力なく破れてしまっている状態。




修理前の考察はそんなところでしょうか。
金具の損傷部を修理し、洗浄してメッキ替えというのが大まかな流れですが、
それだけでは済まない感じ・・・。

予感通り、修理を始めると色々とございました。



まずは金具の取外しから。

金具の鋲穴の位置に定位置があるので、金具の裏に番号を刃物で残します。

マーキングをしておかないと、後々が大変。。


それぞれの定位置がわからなくなると全てにおいて帳尻が合わなくなります。




マーカーで印を残しても、メッキ替えをする際に消えてしまうので
刃物で番号をつけます。結構時間が掛かります。



今回面白かったのが、
金具で覆われた木地の出来が驚くほどやっつけ仕事だったこと。








いまでも、総金具打ちの場合、木地にはそこまで手を入れませんが、







こんなんでした・・。

あら、まあ(*^。^*)





高さが足らなかったようで杉板が足され、
虫食いもそこそこ見受けられました。





ということで、木地は新たに作り替えました。





さらに木地は、底あげうらの内部四方たち上がりは金具打ちにせず、
板を貼り、あげうら底板同様に漆箔仕上げに変更。

漆塗りの上、摺りあげ後に金箔押しです。








天場には、本金の雲龍金襴裂地を張り・・。





そして、クライマックスの修理しメッキ替えを終えた金具を取り付け作業。




あげうらの金具は新調し取り替えましたが、



マーキングすることで金具打ちは時間短縮でき、





木地を替えたことで、鋲穴が合わないこともありましたが、
問題なく仕上がりました。












あげうらですが、
少しカッコよくなるように気張りました。


もとはこんなんでしたが、
地擦りの金具の合わせ目が、どうも”いかんせん”な仕上がりですので。。






こんな感じで仕上げました。











普通のことかもしれませんが、鋲穴のことも少し考えて(^_^)/

実は、この時の仕事が頭をよぎって今回取り入れました。


ブツネタ351「ダルマさんの線香立て」


色々と勉強になるお仕事でした