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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理の話38『弘法大師像の復元修理』

2018年03月03日(土)





前回からの続き。



前回は、木地修理完了までをご紹介しました。





水に浸し、下地を除去し、解体する作業を経て、

木地修理、接合の工程が完了すれば、

彩色は複雑な模様等がないので、修理工程の3分の2が完了した感じです。


次の工程は塗師の手に渡ります。

彩色で仕上げる前のとても大事な工程になります。


ただ単に、彩色をする前の白地(胡粉地)を塗るというものではなく、



彩色で仕上げるにあたり、よりきれいに仕上がるよう、そして、


後世において、亀裂や剥落が起こりにくくするように手を尽します。





解体した際に、これだけのパーツに分かれました。

中には細かな木片もあります。

こういった木片があるということは、虫食い、摩損、欠損、そういった損傷部に埋め木したり、補作したり、

過去に復元修理が行われたという証になります。


今回の弘法大師像に関わらず、小さな仏像出ない限り、

複数の部材から構成されています。

材質は木です。今回は桧でしたが、材質はともかく木製の場合、



乾燥や湿気により、木が伸縮し、木が呼吸することで、

接合部分から亀裂が生じたり、

さらにはそこから下地の剥落につながったりします。

以下数枚の画像は、それらを防ぐための工程になります。



接合部へ、漆と木粉を混ぜたコクソを充填し、










さらには、その部分に和紙を張り補強をし、

木地堅めと言いますが、木地部分に生漆を摺りこみます。



底部分には、寒冷紗を張り、漆でかためます。

和紙よりも強度があります。



こういった下地前の補強が、非常に大切になってきます。

その後に、胡粉地(胡粉+膠)を塗り、



塗っては研ぐ工程を繰り返します。







木の表面は刃物跡や損傷による多少の段差等もあります。

それらを下地でなだらかに仕上げていきます。


そして、下地の完成がこちらの画像になります。






特筆すべき点がありまして、

このあとすぐに彩色師の手に渡るわけではありません。


塗師さんからお像を受け取って、



私共で必ずやるべきことがあります。


こちらは下地完了時のお顔の拡大画像。



このままでは、彩色師に依頼できません。

木地修理の段階と比較してみると、それが良くわかります。




おわかりになられましたか?



それは目の大きさです。

塗師さんがしたじを塗られることにより、

まぶたがどうしても埋まってしまいます。


ですので、下地が完了した段階で、まぶたの整形手術を行います。

我々は「眼(がん)出し」と言っています。




眼出しをしていない仏像は、目が埋まった感が否めません。

これは漆箔で仕上げる場合でも同じです。




眼出しが完了すれば、いよいよ最終工程の彩色師さんのもとへ。

弘法大師像の場合、持物の五鈷杵がありますので漆箔で仕上げ、

さらには左手には数珠を持たせて、完成になります。









今回のお仕事は、とても立派なお像ですが、

一般在家様がお祀りされている弘法さまでした。

後世に残るお仕事をご拝命頂けたことに感謝いたします。


仏像修理の話38『弘法大師像の復元修理 
仏像修理の話38『弘法大師像の復元修理◆