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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理のハ・ナ・シ8 『仕様変更した復元修理』

2009年03月21日(土)


ある寺院の開基肖像です。
今回は、こちらの肖像の修理のハナシです。




損傷箇所は、パッと見たところ、

肩や肘、腹部と大腿部の矧ぎ目が遊離しているのがわかり、

その部分から、下地の剥離・剥落も確認できます。

あと、膝前部の衣先が脱落してありません。


また、側面や底面を見てみると、



脇の衣部分と、



底板の一部も脱落しています。

底板は黒く塗られている中で、白木の部分があることで、
後に簡易的に補修された経緯があったことがわかります。


この肖像は、寄木造りで、挿し首、玉眼
黒い彩色による仕上がなされていました。

さて、
今回の修復内容は復元修理。

当初は既存の状態に戻す復元彩色を予定していましたが、

ご住職様のご意向により、身色は肌色にて、

髪や眉毛等も彩色にて表現することとなりました。


修理の手順としては、

洗浄し、彩色や下地の層を除去し、木地の状態に戻し、

膠にて接着されていた接着部分を解体。



修理前の段階で、木寄せ箇所の遊離や脱落しているのが確認できましたが、

これは、接着剤の劣化が原因です。

当時に使用されていた膠の接着力は、数十年経てば、接着力も弱まってきます。

ですから、解体して再度接合する必要性があります。


解体後は、木地を補修して接合し直します。

木寄せ箇所に生じる隙間には、埋め木や刻苧(こくそ)をします。

玉眼部分は固定し、先に彩色を施します。





木地修理完成後の写真です。

脱落して失くしてしまった部分は新補します。

その際の材は桧を使用しています。


その後は、下地の工程に移ります。

衣の色は黒ですが、
彩色ではなく、強度面を考えて、艶を消した黒漆塗りにて仕上げることにしました。


下地の前にまず、

生漆を摺り込み、木地堅めを施し、



全体の矧ぎ目に和紙を貼り、底部に布を貼ります。



この一連の作業は、お像にとって一層の補強となります。


そして、下地を塗っては研ぐ作業を繰り返し、下地作業がようやく完成します。

衣部分には、艶を消した黒漆を塗って完成。



肌部は、胡粉下地の後に、彩色の工程に移ります。

彩色を施せば完成。
衣の一部にも白を入れました。





彩色の内容は、ご住職のご意向を元に表現しました。


既存状態と同様に(元通りに)仕上げることが多い中、

このように、施主様のご意向によって、仕様を変更する復元修理も時折あります。