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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理の話85『阿弥陀如来1尺1寸復元修理』

2020年02月25日(火)






非常に良い出来の阿弥陀如来像がやってこられました。


バランスといい、衣の流れといい、惚れ惚れする阿弥陀さんです。

身丈立像1尺1寸。






鼻が黒い・・。

鼻が不自然なのは、過去に部分的に修理されたか。。

何とかしたいのはヤマヤマですが、
お顔は傷は致命的で、部分的に補修するのは非常に困難です。



耳部分の修理は違和感なく仕上げることは自信がありますが、

仏像修理のハナシ29『耳の損傷』



仏像修理のハナシ30『仏手の新補&続・耳の損傷』



鼻はお顔の中心ですし、
また既存の金箔の状態を考えれば修理はやはり不可です。
(部分的に直しても、直さない部分の金の色に合わすのが困難です)



かたや、こちらは台座と光背です。










過去に塗り替えをされたそうで、かなり塗り膨れてしまってますね。

彫りはそこそこ深そうなのに、下地で埋まってその良さが半減してます。


光背は八葉の種を見れば彫りがうまっているのがよくわかりますし、
台座は言わずもがなです。


もともと倍くらいの高さだった台座を、仏壇内に納まらないので

下部を除去してあります。

よくあることですが、台座としてはやはり不自然です。




あと、とても残念だったのが、蓮華部分。


連肉部分を見るとハート型。そう、踏み割り蓮華です。


浄土宗の正式な蓮華。阿弥陀さんも一歩踏み出しておられます。




作者がこだわりを持って作られたのだと推測しますが、

現状は、踏み割り蓮華の葺き方ではありません。


作者のこだわりが、前回の修理で消されてしまっています。







ということで、いろいろ精査した結果、

阿弥陀さんは、木地に戻す復元修復。


舟型光背も、木地に戻す復元修理。

台座に関しては、新誂し取り替えることに。




こちらは、仏壇内に納まる修復前の阿弥陀さんですが、



大きな仏壇ではありますが、

身丈1尺1寸の阿弥陀さんですので、虹梁の真下にお顔があります。


台座を新誂するのであれば、現状と同じか、現状よりも低くしたいところ。


それを踏まえて、修復と新誂の工程を進めていきます。









水に浸けて下地を除去し、木地に戻し解体をします。


今回も‟当たり!”が出ました。

胴体の内刳り部分に墨書きが残されていました。





内刳り部分の削りもとても丁寧ですし、



また墨書きも書家のようなきれいな字。

製作された仏師さんの丁寧さがとても伝わってきました。





元禄四年は1691年。 今から329年前です。

墨書きや納入品があったときは、毎回心が躍ります。

また、施主さんが非常に喜んでくださることが大変うれしいんです。







かたや、



かたやです。



光背の木地戻しですが、

ある程度予測はしていましたが、



我々が扱わない材料での下地と塗り。

膠による下地ではなく、塗りはもちろん漆ではありません。





水に溶けるような材料ではなく、

この下地が木地の上から直に施されていたら大変なことになります。


幸い、オリジナルは膠による下地で作られていたので、

下の層に水気を与えることによって、下の層から起こすことが出来ました。





よくあることですが、木地に戻すと、


このように、金箔の下から金箔が出てきます。



分厚い層ではないのですが、

やっぱり層が増えると除去するのは時間がかかります。





さて、木地に戻し解体した後、

木地修理をして接合をし直しますが、



今回も像内納入品をご提案させて頂きました。


願文や施主名、年月日など 
思いを込めて。








後世に修復することがあるならば、



それがいつなんだろう・・とか。


どんな人間が修復するんだろう・・とか。


いろいろ考えながら、いつも納入しています。




瞳も描き直しを経て、玉眼を嵌入。








そして、阿弥陀如来像、木地修理完了。










台座の彫り上がりと、



光背の木地修理も完了。







前にも言いましたが、台座の高さに制限があり、


出来れば、既存分より低くしたかったのですが、

出来るだけ立派に見せたいという思いがあり、



高さこそ、既存分と同じですが、

華盤付きで、踏み割り蓮華、グレードをできる限り上げました。



木地修理が完了すれば、後半戦です。



塗師の手に渡り、




天然の材料を使用した昔ながらの膠による下地。


膠に胡粉や砥の粉を混ぜた下地を塗っては研いで、







まずは、指の入らない腕の内側から先に仕上げます。



漆を塗って金箔を押して、










肩を接合。 

接着面の筋が残らないように部分的に再度下地を施します。



そのあとは、逆の腕。





塗師、箔押師、塗師、箔押師と何度も行き来して、






徐々に仕上がっていきます。

その一部始終を管理するので、完成するころには愛情が溢れています。




全体に金箔を押して、肌の部分にはさらに金粉を蒔きます。

我々はヌグイと呼びますが、肌部は、金箔+金粉の層になっています。





その後に、彩色師に螺髪、眉毛、髭を描き、唇にごく淡く朱を塗って、


阿弥陀さんは修復完了になります。


また、同様に台座と光背を仕上げていき、



踏み割り蓮華には、岩彩色の上から截金を施し、框に錺金具を打ち、

組み立てて完成になります。







金箔の色も良いですし、



彫りも深くなったのがわかりますかね。。



あと、玉眼ですが、

よく目が下地や漆で埋まっている仏さんを見ます。



そのようなことがならないように、毎回気を使っていまして、


漆が塗り上がった段階で、下地と漆を刃物できれいに除去します。



金箔が仕上がった後にもまた瞼をきれいに掃除しますが、

塗り上がった後に瞼をきれいに出しておくことが非常に重要なんです。







そうすると、このように半眼でも玉眼がキラリ★



この目が光るのがやっぱり玉眼の醍醐味ですよね。




気持ち良いお仕事が出来ました。


このお仕事、実は阿弥陀三尊として祀られます。

次回は、ご両脇のお仕事のご紹介をいたします。