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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理の話28「びんづる尊者像の修復」

2015年07月15日(水)




釈迦如来の弟子で、十六羅漢の一人でもある

賓頭盧(びんづる)尊者像のご修復のご紹介です。


日本では、お堂の前や、堂内の外陣に置かれ、

撫でると除病の功徳があるとされ、"なで仏”と呼ばれています。

なでられるからなのか、朱やウルミ(茶)の漆で塗り上げられます。



こちらが今回の賓頭盧尊者(びんづるそんじゃ)像。




漆は剥落し、下地、部分的に木地までも露出しています。

この状態では撫でづらい・・。






下地が露出していると申しましたが、

白いのが下地でして、これは胡粉と膠によるもの。

膠の下地は利点もあるのですが、こういった"なで仏”の場合は、

強度を考え、漆による下地が相応しいです。




後は、指が折れていたり、





よく見ると二重っぽかったり、

首が若干埋まっていたり




底は、塗りが省かれていて、補強の布張りはなく、

鎹(かすがい)が打たれていたり、




いろんな部分に欠失が確認できたり・・



損傷は著しい。

びんづるさんの修理で共通することです。



では、修理に掛かります。

まずは、漆と下地の層を除去し木地に戻します。

そのためには、水に浸けます。

時間は掛かりますが、
膠で接着しているので、水が入ることで解体ができます。








また、先に申しましたが、
下地は、胡粉と膠による下地でしたので、

これまた時間は掛かりますが、除去が可能です。

洗う作業をするとわかり易いのですが、漆の層が2層。

前回修理は、下地を除去せず、上から漆を塗られたことがわかります。



過去の修理の跡や、像の歴史を垣間見れるのは面白いものです。



そして、全てを木地に戻し解体した写真がこちら。




頭部のアップがこちら。



玉眼のレンズも残っておりましたが、

かなり曇っていたのと、亀裂もありましたので





人工水晶で新調しました。

新調したレンズを取り付けて、



瞳を描き、

この後、綿を固定して顔を固定。


そして、全体の木地修理及び接合をして、

木地修理が完了した後の写真がこちら。














首が露になり、欠損した箇所も補作。

全てのパーツが接合し、礼盤は地摺りを付けたものに作り替えました。




このあと塗師の手に渡り、


まずは、大きな傷や凸凹に、漆と地の粉を練ったものを塗り、




それを研ぎ上げます。





そして、布(寒冷紗)を張り、木地を補強し、





漆と砥の粉による堅地下地を施します。



より強固な堅地下地。
"なで仏”では、最も相応しい下地といえます。


漆を使用しますので、膠の下地と比べて乾燥に時間もかかります。

塗っては研ぐ工程を繰り返し、


漆を塗り上げます。





そして研ぎ。




この工程を繰り返します。



そして最終の上塗りが完了し、
持物の宝珠を金箔押し(さらにコーティング)をし完成です。








ウルミ漆で塗り上げました。


お像が艶のある塗りあがりなので、

礼盤は、変わり塗りの"THE・ラザラ”(谷口だけの通称)で仕上げました。

≪過去のTHE・ラザラ≫

ブツネタ303「仏器箱・変わり塗り仕上げ★」

ブツネタ339「別製木瓜厨子★もうすぐ完成」

ブツネタ343「小型の木瓜厨子とエリート仏具たち」


艶のない、また違う風合いの塗り方をすることで、

よりお像が引き立ちます。






また、傷もつきにくいですし、
この仕上がり、組み合わせは良かったかと思います。





修理前は二重がわかりにくかったですが、

修理後ではパッチリ二重です。


下地を落とさない度重なる修理によって、

彫刻が埋まっていたことが、よくわかります。


底にはもちろん、布を貼っています。






賓頭盧尊者像のご修復でした。