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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理の話36『唸る台座・復元修理』

2017年12月17日(日)

前回からの続き。

さて、



前フリがえらく長くなってしまいましたが、
タイトルにある唸る台座の修復のスタートです。





稀に見る繊細かつグレードの高い彫刻だけあって、



水に浸けて下地を浮かせ、木地の状態に戻す工程も非常に手間が掛かります。

膠による下地が施されているので、水に浸ければ下地を除去できますが、

そう簡単には除去できません。


そして、
少し見にくいですが、台座の洗浄後(下地除去と解体)の画像です。




今回の台座は、六角の形をしています。

台座の形は、六角、八角が主ですが、
その場合、反り等を考慮し矧ぎ合わせて構成され、

解体すると大量のパーツに分かれます。


下地を除去すると、より彫刻の良さがわかります。

この部分は下部の台輪部分。鬼面の顔がリアル。






台輪下の框には虫食いが確認できました。
幸いこの台座の虫食いはこの部分だけでした。





とことん細かい彫刻。








バラエティ豊かな彫刻の数々。



こちらは蓮華(蓮台)の蓮弁。
双頭蓮(そうとうれん)と呼ばれる蓮華のふたごちゃんである踏み割り蓮華。

あえて、1枚木地に戻していない蓮弁があるのがわかりますか?

画像の右上の、、



これこれ。
(撮影後に他と同様に下地を除去し木地に戻しています。)

時折見る、金箔の上からの截金(きりかね)。

金箔を押してから、さらにほんのりと截金で金線を表現。

彫刻だけにとどまらず、加飾にもこだわりを感じます。



そして最後に、こちらは光背です。

舟型の光背も大きく6つに解体が出来、

さらに雲の渦の付け彫り部分も大量。

右側のオタマジャクシのようなのが雲の渦部分。




渦雲の彫刻の場合、
適度に深い方が陰影が付いて仕上がりがカッコ良いです。


下地除去、解体の工程が完了すれば、次の工程に移ります。

次は、木地修理になります。


解体したパーツを接合し直し、虫食いや欠損しているパーツを修理し、

亡失してしまった部分は新たに彫刻をし直します。



こちらは彫刻修理後の画像。









補作した部分と既存部分と色の違いが出るのでわかりやすいでしょ。


そして、それぞれを重ねれば、このような感じです。
















『唸る台座・復元修理 戮如△笋燭蘢垢見解を語らせて頂いたので、

ここではあっさりと解説します。





もともと上段に立たれていた高さ3僂療敬像は、本来の位置に戻られ、

四天王としてではなく、二天として前側に。

後方の2ヵ所には、ケツバシラを新補しました。








天部の横に入る花の彫刻は、正面が桜、両脇に菊と牡丹。

その上には、牡丹に唐獅子。

その上には、鳳凰が3羽。(雲に鳳凰)




そして、

鳳凰の上部の雲の彫刻には、付け彫り部分が全て亡失していましたので、


この度、付け彫りとして楽器を新補しました。

正面に、琴、両脇に琵琶と笛。








雲に楽器の両端につく欄干の柱には、二天同様、前側に獅子が二匹。



後方には、蓮付きの宝珠を新補しました。



亡失してしまった彫刻は、何が付いていたかを予測し、

また何が相応しいか考え、また施主様のご予算も考慮し、

何通りかご提示させて頂きました。


それを考え、実際にカタチにすることがこの仕事の醍醐味でもあります。


光背の木地修理後はあっさり1枚だけ。




それにしても大した彫刻です。

このあとは、



塗師、箔押師、彩色師などの手に渡り、最終組み立てを行いますが、

それらは次回、ご紹介をします。