京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

★合掌★手を合わそ23「小さな弘法さんの礼拝壇◆

2018年01月09日(火)

前回からの続き・・



お厨子の修理は比較的多いお仕事ではありますが、


これほど小さいものは初めてです。








この厨子の現状としまして、


金箔の擦れ、屋根部分の木地の損傷が確認でき、

他、下地の剥落等は全体的に確認が出来ました。


ただ、錺金具も亡失はなく、

また大きな損傷はないというのが修理前の考察です。


この厨子は、小さいながらもバランスが良く、大きさに比例して、

扉も厚さも非常に薄く出来ています。

錺金具も小さくても丁寧に作られており、幕板も同様です。



この幕板は、非常に小さくても、丁寧に金泥で唐草の文様が描かれ、

蓮の盛上げ彩色が見事です。葉脈や花弁の筋も綺麗に描かれています。

この素晴らしい幕板が、無傷で保存されていることには驚きました。


この幕板の復元は出来るとしても、
そこそこの予算が掛かります。

厨子本体は修復しても、何とかして幕板は現状を維持しなければならないというのが、この厨子修復のポイントです。




ただ、難点なのが、後世の修理です。

接着がゆるみ、接着をされたのでしょうが、ずれて接着がされています。

そして、はみ出るほどの十分な接着剤を使用しての接合。






これが、難題の1つでした。

厨子を修復(塗替え)するためには、幕板を取り外さなければなりません。

また、厨子は歪んで接着されているので、一度取外さなければなりません。

しかし、幕板は現状を維持するために傷を付けることは出来ません。


解体するところから結構ハードルが高かったのですが、

いろいろと試行錯誤して、無事に解体することが出来ました。




写真は、木地修理後のもの。





こちらは取り外した金具。



金具はメッキ替え。

厨子本体は、漆を塗替え、金箔を押すという通常の流れではありますが、







今回ばかりは、金箔を施してからの金具の取付が困難だと思い、



蝶番と掛金具の軸だけは箔押し前に取付け。

昔(昭和中期くらいまで?)の小型の厨子の多くは、

この手順で製作されているものが多いように思います。







蝶番の貫通した鋲を隠す押しピン式の裏金具も製作はしたものの、



取り付けると返って不自然になるのでやめました。。


金箔が押し終わり、あとは残った金具の取付です

蝶番や打ち掛けの軸の取付が完了しているので、あとはスムーズかと思っていましたが、最後の難関が待っておりました。


★持っている鋲が長すぎる★


扉の八双金具と定木の金具にも鋲穴があり、
それを留めるためにはかなり短めの鋲が必要です。


弊社では、小さな仏さまの台座も製作する機会がありますので、

かなり短い鋲も確保しています。

下の長い方の鋲は1分5厘(4.5mm)


一応、弊社にある最も短い鋲になるのですが、これでは貫通してしまいます。


まさか、鋲で苦労するとは・・・。


ということで、

この鋲を半分以上切断し、ヤスリをかけて極短の鋲を製作。





この状態から、またさらにヤスリをかけています。

鋲の頭を傷つけないように、なかなか大変な作業でした。。


そしてこの通り。

現状を維持した幕板を取付けて厨子修理は完成に至りました。








最も大変だった厨子修理は以上です。

この小さな厨子が、どのように演出したかは次回ご紹介いたします。