京都市西京区の京仏具匠、京仏商谷口。寺院・在家用の仏像、寺院荘厳仏具から仏壇まで製作・修復いたします。

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日々雑録
京都には熱い思いを抱いた職人たちが大勢います。この日記を通して“ものづくりの心”を少しでもお伝えできればいいな、と思っています 専務取締役 鶴島 義允

仏像修理のハ・ナ・シ15 『後世の修理の悪例』

2010年05月18日(火)



小さな台座と光背をお預かりしています。

立像4寸用です。





まずは、台座から。


最低1回の修理の手が入っているのがわかります。

蓮弁が前回の修理時に、彩色を落とさずに新たに彩色が施されています。

上層の彩色が剥落し、下層の緑色が露わになっています。


漆箔部分の彫刻も塗り膨れています・・。






・・・で光背はというと、

雲の渦の彫刻、きれいに彫れています。

これも塗り膨れてはいますが、彫りが深いので塗り膨れても、

なかなかカッコいい☆


・・・でも、

なにやら様子がおかしい・・。

(それは後ほどご説明)






修理内容は復元修理となりますので、

まずは漆箔・下地の除去から始めます。






こちらは、台座の蕊(しべ)の部分。

赤矢印・・・前回の修理時の漆箔の層

青矢印・・・制作当初の漆箔の層


赤矢印の層がめくれて、青矢印の層が出てきたわけです。


写真の左側にめくれた層も写ってますが、

この分が塗り膨れてるわけです。








あと光背ですが、コチラはわかりやすい☆


下側と上側に黒い層(オレンジ矢印)が残っていますが、

コチラは前回修理時の漆の層(黒の箔下漆)。



全体にある赤い層(赤矢印)ですが、

コチラは制作当初の漆の層です(ウルミの箔下漆)。



朱やウルミの色漆の箔下漆を塗ってから

金箔を押すと、金箔の色が赤みを増すことから、

意図的にウルミ漆が塗られているんですね。





・・・で漆箔、下地を除去した写真がコチラ。



使用していた材といい、

彫刻の内容といい、

色漆の件といい、


制作された方は、そこそこ拘っておられたことがわかります。



今回の修理では、

少々変わり種だったのが・・光背☆




冒頭にも何やらおかしいと書きましたが、

今回のこの光背、一木やったんです。






左側が今回の光背です。

通常なら右側のように、6つの木地を木寄せして光背を制作します。




下の写真は、舟形光背の制作過程です。



木寄せをして(左)、削って(中央)、(右)のように仕上げていきます。



今回の舟形光背に何か違和感を感じたのは、

木取りの段階で、舟形のアールがきれいに形成できてなかったのが原因かと。



でも、彫刻はすばらしいものでした☆






続いて、コチラは台座の据え座と呼ぶ部分で、

別彫りで本体に接着する彫りなんですが、




右側の2個がオリジナル(制作当初のもの)

左側の3個は後補(前回修理時に交換されたもの)

色が違うのは写真でもわかります。


オリジナル分は木地がとてもしっかりしていました。


花菱の彫刻が、後補分はオリジナル分を意識せずに彫刻していますね・・。







下地を除去せずに塗り替える“いかんせん”な修理内容に加え、

オリジナルと彫刻を合わせない点、


さらに!







台座のパーツをつなぐ心棒が、




丸穴なのに対して、適当な棒になっていたり、





中心がずれていたり・・・

挙句の果てには、最初は気付かなかったんですが、




台座の順番が間違っている・・・。

高欄(欄干)が浮いてますね。

いちばん幅のある框座(6番)が高欄の下に来るはず。

青字の順になるはずなんです。




せっかくの拘って制作された台座・光背なのに・・・。

後世の適当な修理は見てて悲しくなります。




「いかんせん♪  嗚呼いかんせん♪  いかんせん♪」


“いかんせん”な修理を見たときは唄いましょう。